僕はUber Eats、出前館、Rocket Nowの3社を、実際に走りながら使い分けている。どれが一番稼げるのか、と聞かれることがある。でも僕に言えるのは「今のところ、僕にはこう見える」までだ。報酬もインセンティブも、時期や地域で動く。一番はどこか、と決めきるのは難しい。
だから、断言できないなりに、一人の配達員の視点から、今の各社がどう見えているかを記録として残しておくことにした。これは2026年7月時点のものだ。同じ見方で、これから半年ごとくらいに、また書いていければと思う。あくまで一人の配達員から見た景色として、読んでもらえたらと思う。
なぜ「各社の状況」を定点で見るのか
各社の報酬設計は、その時々で変わる。ある月のインセンティブが、次の月にはなくなっていることもある。だから毎回ちがう見方で書くと、変化なのか測り方の違いなのか分からなくなる。そこで、いつも同じ軸で見ることにした。報酬単価、クエスト(件数や時間帯に連動した追加報酬)、ランク制度、エリア依存、副業との相性。この5つだ。
先に断っておくと、各社の良し悪しを決めつけたいわけでも、どこかを批判したいわけでもない。僕の働き方だと、こう映る、という話だ。
3社の報酬設計の見取り図
まず、2026年7月に僕が実際に走った数字を並べる。といっても7月はまだ途中なので、これは7月27日時点までの集計になる。
| Uber Eats | 出前館 | Rocket Now | |
|---|---|---|---|
| 平均単価(1件) | 約500円 | 約660円 | 約530円 |
| 件数 | 192件 | 247件 | 19件 |
| 売上の割合 | 約36% | 約61% | 約4% |
数字を見る前に、一つ注意がいる。ここでの単価は、売上を件数で割った、1件あたりの金額だ。そして3社とも、売上には後で触れるクエストの報酬が含まれる。だからこの単価は、どれも「基本の配達報酬+その月に出たクエスト」の混ざった値で、時期やクエストの有無で動く。しかも、1件あたりの金額は分かっても、その1件にどれだけ時間がかかったかは、この数字には表れない。単価が高くても、その1件に時間がかかっていれば、割に合うとは限らない。だから単価の絶対値だけで各社を比べるのは、僕は慎重にしている。
それでも、基本の配達報酬が高ければ、その分この単価にも表れる。出前館の約660円は、他の2社より頭一つ厚い。ここが僕にとっては大きい。
もう一つ、季節の差もある。4月に走った時は、今より単価が高かった。ただ4月は繁忙期、7月は前半が閑散期で、条件が違う。だから4月と比べて「下がった」と決めるのは早い。時期がちがうだけでも、これくらいは動く。同じ物差しで時点を重ねていく意味は、そこにある。
そのうえで、僕の中ではこう分類している。3社は「基本単価の高さ」と「クエストへの依存度」でグラデーションになっている。出前館は基本が高い単価型。Uberは基本が低く、クエストが稼ぎの中心にくる件数型。Rocket Nowはランク制度と不定期のクエストを持つ件数型。件数をこなす人ほど得をする設計に、UberとRocket Nowは寄っている、というのが僕の見立てだ。
Uber Eats ── クエストが、稼ぎの中心にくる
Uberの報酬は、基本の配達報酬に、いくつかのクエストが積み重なる形になっている。常時ある日跨ぎクエストに加えて、ピークタイムクエストや雨クエストが出ることがある。ただ後者は、出たり出なかったりで、当てにはできない。
僕が件数型だと感じる中心は、日跨ぎクエストの設計にある。これは、規定の件数をこなすと追加報酬がもらえる仕組みで、しかも目標の件数を自分で選べる。多い件数を選べば、1件あたりの上乗せは大きくなる。ただしその分、達成のハードルは上がり、届かなかったときのリスクも大きくなる。
つまり、長く配達時間を確保できる人、多く配達をすることができる人ほど稼げる。僕のように副業で配達をする時間を多く取れない場合、低い件数を選んで少ないクエスト報酬にするか、高い件数を選んで未達のリスクを負うか、という選択になる。ここがUberの「件数インセンティブ型」の芯だと、僕は受け取っている。
クエストの詳しい仕組みと、僕が感じている3つのリスクは、以前に別の記事で書いた。
だから、さっきの約500円という単価も、基本にその月のクエストがどれだけ乗ったかで動く。僕の配達件数が少なかった月は、低めに出やすい。
出前館の今 ── 1件が厚いということ
僕が主軸を出前館に置いている理由は、単純だ。1件当たりの報酬が他社と比べて高めだからだ。平均約660円という単価は、稼働できる時間が限られる僕の働き方において、稼ぎやすい。売上の6割を出前館が占めているのも、その高さの結果だ。
それに、1件ごとの報酬で成り立っているぶん、Uberのクエストのように「今日は何件配達しないと」というプレッシャーがない。時間が取れた分だけ走って、その1件がそのまま報酬になる。稼働できる時間がまちまちな僕には、この気楽さが合っている。
最近は、出前館でもクエストが出るようになった(2026年7月時点)。感触としてはUberのピークタイムクエストに近く、需要が見込まれる時間帯に規定の件数を配達すると報酬が出る。ただ、こちらもクエストを出すかどうかの判断は出前館側にあって、配達員の僕には詳しい基準は分からない。
数字の面にも、少しだけ触れておく。日本のフードデリバリーで、日本単体の決算が読めるのは、実は出前館くらいだ。UberやRocket Nowの親会社は海外の大きな会社で、日本事業だけの数字は表に出てこない。その出前館は、足元で通期の赤字見通しを引き下げている。ただ、そこから各社の勝ち負けまで読むのは難しい——数字が見える会社と、見えない会社がある、というくらいの距離感で見ている。
Rocket Now ── サブとしての、正直な位置づけ
正直に書くと、Rocket Nowは僕の中では小さい。7月の件数は19件、売上の割合は約4%だ。たまに開く程度のサブになっている。
ランク制度があること自体は、前から知ってはいた。ただ自分には関係ないと思って、詳しくは見ていなかった。少し前にその内容が更新されたようで、今回あらためて中身を確認した。配達の実績に応じてランクが上がり、報酬に上乗せが付く仕組みだ(上位のランクほど上乗せ率が高い。達成の条件はエリアによって違う)。多く配達をして、続けている人ほど有利になる。ここもやはり件数型だ。
Rocket Nowにも、規定の件数を配達すると追加報酬が出るクエストがある。ただ、これも出たり出なかったりで、当てにはできない。だから約530円という単価も、僕にとっては読みにくい。
サブなのであまり深くは追えていない。それでも、新しいプレイヤーの動きは見ておきたいと思っている。
一社に依存しない、ということ
複数のアプリを開いておく一番の理由は、その時々で稼げるところを選んで走れることだ。たとえばUberは、日跨ぎクエストにピークタイムや雨のクエストが重なると、単価がぐっと上がることがある。そういう時はUberに寄せて、それ以外は出前館で走る。逆に、Uberでクエストが重なっていても、出前館の単価のほうが高ければ出前館を選ぶ。一社に決め打ちせず、そのとき条件のいいほうで動く、ということだ。
使い分ける理由は、それだけじゃない。もう一つ、忘れられない日がある。
2026年3月1日の夜のことだ。当時、出前館では「お店価格」の展開が進んでいた。その晩、稼働中に出前館からの配達依頼が途切れた。何が起きたのか分からずXを見ると、同じように依頼が来ないという声が並んでいて、どうやら障害が起きているようだった。その日、僕はメインをUberに切り替えて走り続けた。
一社に依存していると、その社が止まった時に、自分の稼ぎも一緒に止まる。複数のアプリを開いておくのは、稼げるところを選ぶためだけでなく、こういう時の保険にもなる。時間帯ごとの具体的な立ち回りは、以前に別の記事でまとめた。
こうして並べてみると、僕がやっているのは、その時々でいちばん稼げるところで走る、というだけのことだ。ただ、どこがいちばん稼げるかは、働き方によって変わる。長く走れる人ならUberのクエストで伸ばせるだろうが、稼働できる時間が限られる僕の場合は、1件当たりが高めの出前館が、現状はいちばん稼ぎやすいと感じている。だから主軸は出前館に置きつつ、UberとRocket Nowも開いておく。
繰り返すが、これは2026年7月時点の記録だ。半年後、1年後に、各社の報酬やクエストやランク制度がどう変わっているか。同じ物差しで並べていけば、その動きが見えてくるはずだ。次に書くときも、また同じ形で記録したい。
ただ、ここまで書いてきたことは、あくまで僕の場合の話だ。稼働できる時間も、走るエリアも、人それぞれ違う。どの会社が合うのか、どんな走り方が合うのかは、これを参考程度に、最後は自分で考えてみてほしいと思う。
僕も、自分のスタイルに合わせて、これからも選びながら走っていく。
複利の奴隷から、成り上がるまで。


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