3月4.3万→4月22万。フードデリバリーの売上を約5倍にした、中古の電動アシスト自転車

3月の売上4.3万円、4月の売上22万円。中古の電動アシスト自転車を買って約5倍になった フードデリバリー

2023年3月、僕は副業でUber Eatsの配達を始めた。

その月の売上は約4.3万円。

翌月、4月の売上は約22万円。

前月の約5倍になった。

ここまで劇的に変わったのは、たったひとつ。ある自転車との出会いだった。

50,460円で購入した、中古の電動アシスト自転車。

この自転車との出会いは、運命だったと、今でも思う。

第1章:譲り受けた自転車

Uber Eatsを始めた当初は、ボロボロの自転車を使っていた。

5年ほど前、引越しをする知り合いから「使わないから」と譲り受けたものだった。

あまり使う機会もなく、屋根のない自転車置き場に置いてあった。

約5年の間、日差しと雨にさらされて、ボロボロになっていた。

それでも、走ることはできた。

2023年3月12日、僕はその自転車でUber Eatsの初稼働を迎えた。初稼働の話は、別の記事に書いている。

Uber Eatsを始めた日、1日の売上は600円だった

3月の稼働は10日、配達回数122回、オンライン時間39時間57分、売上43,202円。

借金返済中の身としては、ありがたい金額だった。

でも、その自転車には、いくつかの問題があった。

第2章:3回壊れた自転車

3月の稼働中、譲り受けた自転車は3回壊れた。

1回目は、後輪ブレーキのワイヤー切れだった。

走行中に「ぷつん」という小さな音がして、それから後輪のブレーキが効かなくなった。

近くの自転車屋に持ち込み、ワイヤー交換をしてもらった。

2回目は、右側のペダルが割れた。

漕いでいる途中で、足裏の感触に違和感を覚えた。自転車を降りて見てみると、右ペダルの樹脂部分が縦に割れていた。

これも自転車屋で交換してもらった。その時、店員さんから「チェーンも結構くたびれていますね。そろそろ交換した方がいいかもしれません」と助言をもらった。

3回目は、自転車屋の店員さんの助言通り、立ち漕ぎ中にチェーンが外れた。

これは自分で再取り付けして対応した。ただ、手は油で真っ黒になってしまった。

このうち、自転車屋で直した2回の修理代が、合計で4,180円だった。

金額そのものは、決して大きくはない。

でも、気になっていたのは、お金のことだけではなかった。

ボロボロの自転車は、ひとつ直しても、また別の場所が壊れる。

このまま稼働を続ける限り、修理は何度も続くだろう。

修理のたびに、お金がかかる。そして、直るまでの間は、配達ができない。

自転車屋まで押して歩く時間も、修理を待つ時間も、すべて稼げない時間だ。

それに、約1ヶ月稼働してみて、かなりしんどいと感じた。

自転車の不調も重なって、身体的にも心理的にもしんどかった。

でも、借金返済のためには、しんどくても稼働を続けなければいけなかった。

第3章:新しい自転車を、考え始めた

修理を繰り返しながら、ボロボロの自転車を使い続ける。

その先を、少し考えてみた。

使い続ければ、これから何度も修理代がかかる。修理のたびに、稼げない時間も生まれる。

一方、新しい自転車を買えば、まとまったお金が一度に出ていく。借金返済中の身として、その出費は重い。

修理を続けるか、新しい自転車を買うか。頭の中で、両方を天秤にかけてみた。

修理を続ければ、一回の出費は小さい。でも、それがこの先ずっと続く。お金も、時間も。

新しい自転車は、最初の出費は大きい。でも、その後の修理は、ぐっと減る。

総合的に考えると、新しい自転車を買うほうが、合理的なんじゃないか。

そう思った。

これは、ただの出費じゃない。

これから稼いでいくための、投資なのかもしれない。

では、どんな自転車を買えばいいのか。

最初に考えたのは、スポーツタイプの自転車だった。

クロスバイクと呼ばれる種類で、当時、近所の自転車屋では3〜5万円ほどで売られていた。

譲り受けたボロボロの自転車に比べれば、間違いなく軽くて速いはずだった。

ただ、ひとつ気になることがあった。

坂道のことだ。

僕のメインの配達エリアは、体感で、半分くらいが坂道だった。

坂道に差しかかるたび、僕は立ち漕ぎで全身を使って登っていた。場所によっては立ち漕ぎでも登れず、自転車から降りて押しながら登ったこともある。

配達のたびに、これを繰り返す。

クロスバイクに変えても、坂道のしんどさは、そこまで変わらないかもしれない。

そう考えると、電動アシスト付きの自転車のほうがいいんじゃないか、と思えてきた。

ただ、電動アシスト自転車の値段は、さらに高かった。

当時、近所の自転車屋で見た電動アシスト自転車は、12万円前後だった。

3〜5万円のクロスバイクとは、価格の差が大きい。

軽くて速いだけのクロスバイクで、3〜5万円。

坂道も楽になる電動アシストで、12万円前後。

この差額を、どう考えるか。

答えは、すぐには出なかった。

第4章:見たことのないタイプの自転車があった

ある日、買い物に行く途中、自転車屋の前を通りかかった。

普段は通り過ぎるだけの店だった。

その日も、なんとなく目をやっただけだった。

でも、店頭に並んでいた1台が、目に飛び込んできた。

電動アシスト自転車だった。

ただし、僕の知っている電動アシスト自転車ではなかった。

それまで僕の中で、電動アシスト自転車といえば、ママチャリタイプだった。

主婦が子供を乗せて走るような、あの形。

でも、その日の店頭にあったのは、スポーツタイプの電動アシスト自転車だった。

クロスバイクのようなフレームに、6段変速。さらに電動アシストがついている。

僕の電動アシスト自転車の知識は、何年も前で止まっていたようだ。

価格を見た。

展示品の型落ち、99,000円。

10万円を切るギリギリの価格設定だった。

新型なら12万円前後はする、と店員さんは説明してくれた。

「これだ」と思った。

ただ、その場では決められなかった。

99,000円という金額の重さが、足を止めた。

「少し、考えさせてください」

店員さんにそう伝えて、僕はその日、自転車屋を後にした。

第5章:3日間、悩んだ

家に帰ってから、僕は3日間悩んだ。

悩んだ理由は、3つあった。

1つ目は、回収にかかる期間だった。

99,000円を回収するには、どれだけ稼げばいいのか。

直近3月の売上が約4.3万円だった。

同じペースで稼げたとして、約2.5ヶ月かかる計算だった。

2.5ヶ月。

長いのか、短いのか、当時の僕には判断がつかなかった。

2つ目は、続けられるかという不安だった。

3月の稼働が、どれだけしんどかったか。

あのしんどさを、回収までの2.5ヶ月、続けられるのか。

途中で挫折したら、99,000円を回収しきれないまま終わる。

新しい自転車なら稼働が楽になるのか、当時の僕には分からなかった。

3つ目は、キャッシュフローの不安だった。

2.5ヶ月の間、自転車代を回収する以前に、日々の生活費は出ていく。

借金の返済も毎月発生する。

現金で一括で買えば、99,000円が手元から出ていく。

カードでリボ払いにすれば、その分、借金が増える。

どちらにしても、生活が回らなくなる可能性はないか。

頭の中で、何度も計算した。

ノートに数字を書き出してみた。

3月の売上43,202円。

そのペースで2.5ヶ月続ければ、約108,000円。

99,000円を回収できる。

理屈の上では、いけるはずだった。

でも、その理屈は「3月と同じペースで稼げる」という前提に立っていた。

その前提自体が、揺らいでいた。

身体は持つのか。

心は折れないか。

途中で何かトラブルが起きないか。

何度考えても、答えは出なかった。

「買うべき」と「やめておくべき」が、振り子のように行ったり来たりした。

3日間、そんな状態が続いた。

第6章:悩みぬいた次の日の朝、決心した

3日目の夜まで、僕は結構悩んでいた。

布団に入ってからも、頭の中で問答は続いていた。

買うべきか、やめるべきか。

いつの間にか眠っていた。

朝、目が覚めた。そして、決心がついた。

「買おう」

なぜその朝だったのか、自分でもよく分からない。

何かが整理されていた、としか言いようがない。

朝ご飯を食べて、身支度をして、僕は自転車屋に向かった。

足取りは、軽かった。

第7章:売れていた

自転車屋に着いて、店頭を見た。

ない。

3日前まで、あそこにあった電動アシスト自転車が。

店に入って、店員さんに聞いた。

「先日、考えさせてくださいとお伝えした自転車なんですけど」

店員さんは申し訳なさそうに答えた。

「ああ、あれは昨日売れてしまいました」

「そうですか」

それしか、言葉が出なかった。

店員さんを責める気持ちは、なかった。

僕が3日間悩んでいる間に、別の誰かが買った。

それだけのことだった。

帰り道、足取りは重かった。3日も迷っているうちに、機会は消えていた。

借金1,100万円の僕は、99,000円の決断ですら、3日かかった。

これから先、もっと大きな決断を迫られた時、僕は乗り越えられるのだろうか。

第8章:いつもの道の、出会い

その帰り道。

これからどうしようか、と考えながら歩いていた。

いつもの道の途中に、一軒の自転車屋があった。

ずっとそこにあった店だ。

でも、自転車を買おうと考え始めてから、その店が候補に挙がったことは、なぜかなかった。

その時、なぜか目が止まった。

店頭に並んだ、一台のスポーツタイプの電動アシスト自転車に。

買うはずだった99,000円の自転車の、3年型落ちの中古品だった。

値札を見ると、50,460円。

現金のみの、特価。

消費税と防犯登録料も、すべて含めた金額だった。

「もしかして」

そう思って店に入り、店員さんに声をかけた。

「あの自転車、試乗できますか」

店員さんは、気さくに答えてくれた。

「もちろん、どうぞ」

店の周辺の道を、少し走らせてもらった。

最初のひと漕ぎで、世界が変わった。

ペダルに少し力を入れるだけで、自転車が前に進んでいく。

止まった状態からの発進が、驚くほど軽かった。

少し走らせて、登り坂にも行ってみた。

これまでの自転車では、立ち漕ぎでないと登れなかった坂。

その坂を、座ったまま、漕げた。

息は、ほとんど乱れなかった。

「これだ」と思った。

試乗を終えて店に戻るとすぐ、「これ、ください」と店員さんに伝えた。

即決だった。

3日間悩んだことが、嘘のようだった。

2023年4月1日、土曜日の昼。

僕は50,460円の中古自転車を手に入れた。

第9章:4月1日、夕方の初稼働

購入したその日の夕方、新しい自転車で配達を始めた。

最初の配達依頼が入った。

ペダルを踏み込んだ瞬間、進む。

止まっていた状態から、信号待ちから、配達先のマンションの前から、すべての発進が軽かった。

体力が、ほとんど削られない。

配達と配達の間の、移動。

これまでの自転車では、長い移動の度に疲労が溜まっていった。

新しい自転車では、その疲労が、ずっと軽くなった。

登り坂で、座ったまま漕げた。

これが、当時の僕にとってどれほど衝撃だったか。

これまでの自転車では、登り坂のたびに、立ち漕ぎで全身を使っていた。

呼吸が乱れ、配達先に着く頃には汗だくだった。

新しい自転車では、立ち漕ぎの、あのしんどさはなくなった。

風を切る感覚も違った。

軽い車体が、軽い力で進んでいく。

時間が経つのが、速かった。

気がつくと、約2時間が経っていた。

新しい自転車では、時計を見ることすら忘れていた。

これまでの自転車では、時計を見るたびに「まだこれだけしか経っていないのか」と思っていたのに。

身体の疲労が少ないと、時間の流れの感じ方が変わる。

そういうことを、身をもって知った夜だった。

初稼働を終えて家に帰った時の感覚は、今でもはっきり覚えている。

「明日も乗りたい」

そう思った。

3月の終わりまで「明日も稼働しなきゃ」と思っていた僕が、4月1日の夜には「明日も自転車に乗って稼働したい」と思っていた。

「しなきゃ」と「したい」。たった数文字の違いだが、込められた感情は、正反対だった。

第10章:正のフィードバックループ

4月に入ってから、稼働のリズムが変わった。

3月までは「しんどいけど、やらないといけない」だった。

4月からは「自転車に乗りたいから、稼働する」になった。

順番が、逆になった。

借金返済のために稼ぐ、という大前提は変わらない。

でも、稼ぐ手段が、苦行ではなくなった。

楽しい、と感じる瞬間があった。

風を切って走る、その数秒。

登り坂を、座ったまま登り切った、その達成感。

配達を1件終えて、次の依頼に向かう、その充実感。

自転車が変わって、稼働のしかたも変わった。

電動アシストで、坂も長距離も、疲れにくい。配達1件にかかる時間が、短くなった。

疲労がたまりにくいから、長い時間、稼働できる。

自転車に乗るのが楽しいから、稼働を始めるのも、早くなった。

自然と、稼働時間が伸びた。配達件数も、増えていった。

配達件数が増えると、売上が増える。

売上が増えると、もっと稼ぎたくなる。

もっと稼ぎたいから、また自転車に乗りたくなる。

楽しい。稼働する。売上が増える。もっと楽しい。

この循環が、4月の僕の中で回り始めた。

正のフィードバックループ、と後から知った言葉が、まさにこれだった。

義務として漕いでいた自転車が、楽しみとして漕ぐ自転車に変わった。

たった一台の、中古の自転車で。

副業を続けられるかどうかは、根性や気合いの問題ではなかったのかもしれない。

楽しめる道具に、出会えるかどうか。

3月の僕は、悪循環の中にいた。しんどいから稼働が減り、稼げないから、もっとしんどくなる。

4月の僕は、逆の流れに乗った。楽しいから稼働が増え、稼げるから、もっと続けられる。

どちらに入るかで、結果はまったく違う。

その入り口のドアを開けたのは、50,460円の中古自転車だった。

第11章:数字が、証明した

4月の最終結果は、こうだった。

稼働日数:27日(30日中)

配達回数:539回

オンライン時間:180時間53分

売上:221,836円

3月の数字と並べてみる。

項目 3月 4月 倍率
稼働日数 10日 27日 2.7倍
配達回数 122回 539回 4.4倍
オンライン時間 39時間57分 180時間53分 4.5倍
売上 43,202円 221,836円 約5.1倍

すべての数字が、跳ね上がっていた。

特に売上の約5.1倍は、自分でも信じられなかった。

そして、購入価格50,460円の回収。

その50,460円は、4月の最初の10日間で、稼ぎ出していた。

数字が、転換を証明していた。

道具を変えただけで、人は、ここまで変われる。

その事実が、数字に刻まれていた。

5万円の中古自転車から、37万円の新品自転車へ

借金1,100万の40代が、副業にフードデリバリーを選んだ理由

結び

2023年4月1日から、3年が経った。

あの50,460円の中古自転車との出会いは、偶然のようで、偶然ではなかった。

3日間も、99,000円の自転車を買うかどうか、悩んだ。スポーツタイプの電動アシストとは何か、相場はいくらか、自分の稼働に必要か。僕はそれを、真剣に考え続けた。

でも、その自転車は、売れてしまっていた。

落胆した僕が、その帰り道で出会ったのが、50,460円の中古自転車だった。

99,000円を本気で買おうとした経験があったから、僕は迷わなかった。試乗して、すぐに決めた。

そして、もうひとつ。

3年経って振り返ると、あの朝に決めたのは、自転車を買うことだけではなかったのかもしれない。

フードデリバリーで稼いでいくという、覚悟を決めた朝でもあったのだと思う。

自転車への投資ではなく、これからの自分への投資だった。

あの50,460円で、僕は自転車を手に入れた。でも、本当に手に入れたのは、これから稼いでいく自分への、覚悟。

二重の決心だったと、今は思う。

あの日、売れていた99,000円と、出会った50,460円。

たった一台の中古自転車との出会いは、運命だった。

あの出会いから動き出した歩みを、止めない。

複利の奴隷から、成り上がるまで。

コメント

  1. JUMP より:

    こんばんは^^
    お疲れ様です。

    ゆーじさんは相棒を手に入れたわけですが、エンジン車(原付~四輪貨物)で配達をされたことはありますか?

    エンジン車▶初期投資と維持費のかかる選択かと思います。(購入・保管・燃料・メンテナンス・保険等)
    地域にもよるでしょうが、スポーツタイプの電動自転車でも越えられない壁は体験の中でありましたか?
    ゆーじさん、ご自身の判断軸・考え方をお教えいただければ幸いです。
    私としましては、「健康資本」「事故リスク」「撤退リスク」あと、想像が難しいところですが「地域差」この辺りがポイントなのかなぁ、とは思います。

    いつでも構いませんので記事にして頂ければ幸いでございます。🙏

    • ゆーじ より:

      JUMPさん

      コメントありがとうございます。
      記事を読んでいただいて、嬉しいです。

      ご質問にお答えします。

      エンジン車(原付・軽貨物等)での配達経験は、僕にはありません。
      自転車のみ、約3年です。未経験のことは軽々に書けないので、
      比較は控えさせてください。

      電動アシスト自転車でも越えられない壁、ありました。
      僕が一番感じたのは「通れる道の壁」です。
      たとえば跨道橋。原付なら通れますが、自転車は通行禁止で、
      回り道で側道を走らないといけない場面が、たまにあります。
      これは電動アシストでも超えられない、物理的な壁でした。
      エンジン車なら、ここは超えられるはずです。
      (経験がないので推測ですが)

      僕の判断軸は「借金返済中の身で、無理なく続けられるもの」でした。
      初期投資を抑え、やめたいときにすぐやめられる。
      JUMPさんの「撤退リスク」と同じ考え方だと思います。

      「地域差」も大きいですね。
      僕の配達エリアは半分が坂道だったので、電動アシストを選びました。

      JUMPさんが整理してくださった4つの観点
      (健康資本・事故リスク・撤退リスク・地域差)、
      僕が漠然と感じていたものを、言語化していただきました。
      今後の記事の中で、僕なりの視点として書きたいテーマです。

      今後ともよろしくお願いします。
      ゆーじ

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