以前、僕がフードデリバリーを選んだ理由を書いた。
→ 借金1,100万の40代が、副業にフードデリバリーを選んだ理由
初期投資が少ないこと。
支払いサイクルが短いこと。
時間を自分でコントロールできること。
その記事の最後で、デメリットについても触れた。
収入が不安定なこと。身体が資本であること。制度面の負担があること。
ただ、あの時は「概要だけ」しか書かなかった。
今回は、その続きだ。
概要だけ書いたデメリットの詳細と、あの時は書ききれなかったことも含めて、実体験で書いていく。
これは、フードデリバリーを始めようとしている人を止めるための記事ではない。
それでも、始める前に伝えておきたいことがある。
僕は、知らずに始めて、苦労した。
だから、あなたには、先に知っておいてほしい。
第1章:どれだけやる気でも、稼げない日がある
フードデリバリーの収入は、不安定だ。
これは、これまでの記事でも何度か書いてきた。
稼働するかどうかは、自分で決められることだ。
でも、稼働しても、配達依頼が来るかどうかは、僕には決められることではない。
「今日は稼ぐぞ」と意気込んで外に出ても、配達依頼がなかなか来ない日がある。
何件か配達して、その後は配達アプリがオンライン状態のまま、1時間ただ待機していただけ。
そういう日も、何度かあった。
特に、閑散期はきつい。
配達依頼そのものが減る上に、報酬の単価も下がりやすい。
依頼を待つ時間が、どんどん長くなる。
その待機の間、僕は1円も稼げていない。
時間だけが過ぎていく。
始めた頃は、これが地味に精神を削った。
今は、待機の時間に本を読んだり、AIを使って別の作業を進めたりして、なるべく無駄にしないようにしている。
待つこと自体の苦痛は、それでずいぶん減った。
でも、時間の使い方を工夫しても、1円も稼げていないという事実は変わらない。
僕の場合は、この収入が借金返済の原資だった。
「今月はこれだけ返したい」という目標がある。
でも、いくら僕がそう思っても、配達ができなければ、売上は積み上がらない。
自分の努力と、結果が、きれいに比例するとは限らない。
それが、フードデリバリーの収入の、正直なところだ。
第2章:身体が動かなければ、収入はゼロになる
フードデリバリーは、身体が資本の仕事だ。
これも、以前書いた。
そして、そのことを一番実感したのが、2025年7月だった。
この時、僕は首を痛めた。
フードデリバリーを始めてから、体調が原因で長期間稼働できなくなったのは、この時が初めてだった。
稼働できないということは、収入がないということだ。
その上、治療のための医療費もかかる。
入ってくるものが止まり、出ていくものが増える。
この時期は、かなり厳しかった。
幸い、大きく体調を崩したのは、この一度きり。
普段は、崩しそうだと感じたら、1日か2日、稼働を休んで身体を整えるようにしている。
無理に動いて、もっと長く休むことになる方が、結果的に痛い。
ただ、身体だけの話ではない。
体調そのものは問題なくても、心が動かず、稼働をサボってしまうこともある。
モチベーションもまた、稼ぐための「資本」の一つだ。
この「心の資本」をどう保つかについては、別の記事で改めて書きたい。
ここでは、身体だけでなく心の健康も必要だ、ということだけ記しておく。
第3章:かけた時間が、報酬にならないことがある
ここからは、始める前の僕が知らなかったことを書く。
フードデリバリーの報酬は、1配達ごとの成果報酬制だ。
1件配達して、いくら。
その積み重ねで、収入になる。
この仕組みには、裏側がある。
「配達1件」として報酬が発生するまでの途中で、どれだけ時間がかかっても、その分は報酬に乗らない、ということだ。
具体的に書く。
たとえば、お店で料理ができあがるのを待つ時間。
インターホンを押しても、お客様の反応がなく、出てくるのを待つ時間。
地図のピンの位置が実際の建物とずれていて、どの建物か分からず、探し回る時間。
こうした時間は、どれだけ積み重なっても、報酬には反映されない。
さらに、こういうこともある。
配達先に着いても、反応がないまま規定の時間が過ぎると、配達は強制的に完了扱いになる。
この場合、商品は廃棄になる。
問題は、この商品が、次の配達の妨げになることだ。
廃棄する商品を積んだままだと、配達バッグのスペースが埋まる。
次の依頼が受けられなくなることもある。
一度自宅まで持ち帰るしかないが、その往復の間は、当然、配達ができない。
配達ができない時間は、収入にならない。
それどころか、時給換算で見れば、収入は下がっていく。
こうして書くと、理不尽に感じるかもしれない。
始めたばかりの頃の僕も、そう感じた。
でも今は、こう捉えている。
これは、誰かが悪いという話ではなく、成果報酬という仕組みが、そういうものなのだ。
では、こうした「報酬にならない時間」を、どう減らすか。
3年やってきて、僕なりにやっていることがある。
一つは、料理の待ち時間だ。
お店に着いて、料理がまだできていなさそうな時は、店員さんに「あとどれくらいかかりますか」と聞くようにしている。
そして、あまりに時間がかかりそうなら、その配達依頼をキャンセルして、他のドライバーに回してもらう。
僕は、その間に別の依頼を受けて動く。
待ち続けて時給を下げるより、この方が合理的だと判断している。
もう一つは、配達先の建物だ。
配達先によっては、それだけで時間がかかる建物がある。
たとえば、タワーマンション。
防災センターで受付をしてから向かう必要があるなど、部屋の前にたどり着くまでに手間がかかることがある。
これは、配達依頼が来た時点で、配達先の住所を見て見極めるしかない。
「この住所は時間がかかる」と覚えておいて、次からの判断材料にする。
ただ、これには経験がいる。
どの住所が時間のかかる建物なのかは、実際に何度も配達してみないと分からない。
始めたばかりの頃は、当然、この見極めができない。
少しずつ覚えていくものだと割り切ることも、必要だと思う。
正直に言えば、対策できることばかりではない。
インターホンを押しても反応がないこと。ピンの位置がずれていること。強制完了で商品を持ち帰ること。
これらは、こちらでコントロールしきれない。
だから僕は、こう考えるようにしている。
減らせる時間は、工夫して減らす。
減らせない時間は、そういうものだと受け止める。
その線引きができるようになったことが、3年続けて得た、一つの落ち着きなのかもしれない。
第4章:評価は、自分の努力だけでは決まらない
フードデリバリーには、配達員の評価がある。
お客様が、配達に対して評価をつける。
良ければGOOD、不満があればBAD、といった形だ。
始める前の僕は、評価は自分の頑張り次第だと思っていた。
丁寧に、早く、きちんと届ければ、良い評価がもらえる。
そう思っていた。
でも、実際は少し違った。
お客様が何かに不満を持った時、その不満は、お客様に一番近い存在に向かいやすい。
そして、お客様に一番近い存在は、多くの場合、配達員だ。
たとえ、その不満の原因が配達員になくても、だ。
注文から到着まで時間がかかった。
料理の内容に問題があった。
そういう、配達員がコントロールできない部分への不満でも、評価という形では配達員が受け取ることになりやすい。
これは、これからフードデリバリーを始める人に、特に知っておいてほしいことだ。
評価で100%を取ろうと頑張りすぎると、精神的にきつくなる。
自分ではどうにもできない理由でBADがつくことがある以上、100%は、そもそも自分だけでは達成できない。
だから僕は、こう考えるようにしている。
自分にできる範囲で丁寧にやる。
その上で、自分のコントロールの外でつく評価は、そういうものだと受け止める。
全部を背負い込まないこと。
これも、長く続けるためのコツの一つだと思う。
そして、不満は評価という形だけで届くとは限らない。
対面で商品を受け渡す時、配達員は、お客様にとって「目に見える相手」だ。
何か不満があった時、その場で口にできる相手が、目の前にいる。
だから、ごくまれにだが、厳しい言葉を直接受けることがある。
その不満の原因が、配達員にあるかどうかとは関係なく、だ。
これも、評価の話と根は同じだと思う。
お客様の不満は、一番近くにいる配達員に集まりやすい。
それが評価という形になることもあれば、言葉という形になることもある、というだけだ。
これから始める人には、こういう場面が「まれに」あることを、先に知っておいてほしい。
知らずにいると、面と向かって強い言葉を受けた時、必要以上に落ち込んでしまう。
でも、「これは仕組み上、起こり得ることだ」と分かっていれば、受け止め方が少し変わる。
僕自身も、そう自分に言い聞かせることで、引きずらずに済むようになった。
起きたことは仕方がない。次の配達に向かう。それだけだ。
第5章:稼いだ後にも、やることがある
最後は、制度面の負担だ。
フードデリバリーの配達員は、業務委託の個人事業主だ。
稼いだら終わり、ではない。
その後の事務作業が、自分の仕事として残る。
一番大きいのが、確定申告だ。
売上を記録し、経費を計算し、帳簿をつける。
そして毎年、税務署へ申告する。
確定申告は、最初から確定申告ソフトを使っている。
おかげで、作業そのものは、思っていたよりは楽だ。
それでも、仕訳の処理をはじめ、自分でやらなければならない事務作業は、それなりにある。
配達で身体を動かして稼ぐ仕事なのに、机に向かう作業もついてくる。
このギャップに、最初は戸惑った。
サラリーマンなら、多くは会社が年末調整をしてくれる。
でも、個人事業主は、そこも自分でやる。
これも、「自由」の裏側にある負担の一つだ。
そして、正直に書いておきたいことがある。
確定申告には、提出できる期間が決まっている。
例年、2月の半ばから3月の半ばまで。約1か月間だ。
1か月もあるのだから、余裕を持って進めればいい。
そう分かっているのに、僕はいつも後回しにしてしまう。
気づけば期限が近づいている。
そして毎年、最終日の前後に、1日か2日で一気にまとめて仕上げて、提出している。
今のところ、期限には間に合っている。
でも、褒められた話ではない。
早めにやれば、こんなに焦らずに済む。
それが分かっていて、毎年同じことを繰り返している。
これは、制度の負担というより、僕の性格の問題だ。
自由に働ける代わりに、自分で自分を管理しなければならない。
今後、改善しなければいけないところだ。
結び:デメリットを知った上で、それでも僕は続けている
ここまで、フードデリバリーのデメリットを書いてきた。
どれだけやる気でも、稼げない日があること。
身体が動かなければ、収入がゼロになること。
かけた時間が、報酬にならないことがあること。
評価が、自分の努力だけでは決まらないこと。
稼いだ後にも、事務作業が残ること。
これらは、避けて通れない。
それでも、僕は続けている。
以前も書いた通り、僕はメリットとデメリットを天秤にかけて、メリットの方が大きいと判断したからだ。
この記事は、フードデリバリーを勧めるためのものでも、止めるためのものでもない。
僕は知らずに始めて、一つひとつ乗り越えてきた。
だから、これから始めようとしている人には、先に知っておいてほしかった。
賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ。
僕は、経験からしか学べない愚者だった。
でも、あなたには、僕の経験を通して学ぶ賢者になってほしい。
ただ、知ることと、経験することの間には、差がある。
知っているから、避けられることもある。
料理の待ち時間を切り上げる。時間のかかる建物を覚えておく。
先に知っていれば、こうして減らせるものはある。
でも、知っていても、実際に経験してみないと分からないこともある。
面と向かって強い言葉を受けた時の、あの感覚。
稼働しても、売上が思うように上がらなかった日の、あの焦り。
これらは、言葉で読むのと、身をもって知るのとでは、まるで違う。
それでも、先に知っておく意味はある。
知っていれば、少なくとも、心構えができる。
「こういうことが起こり得る」と分かっているだけで、受け止め方は変わる。
デメリットを知った上で、それでも選ぶなら。
その選択は、きっと強いはずだ。
そして僕はそのデメリットを飲み込んで、今日も自転車を漕ぐ。
複利の奴隷から、成り上がるまで。


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