2022年から2023年までの約2年間で、僕がせどりで売り上げた金額は、約1,295.3万円。
そのうち、売れた分の粗利として残ったのは約68.8万円。でも、2022年の決算書の上では、赤字だった。
以前の記事で、固定費を見直したことを書いた。その時に浮いた資金の一部を、せどりの元手にした。
そのせどりがどうなったのかを、今回まとめておく。
始めたのは、2022年の2月だった
きっかけは、その半年ほど前に見た動画だった。
副業の選択肢をいくつも並べた内容で、そのなかで、せどりも紹介されていた。特別な資格も、人脈もいらない。店で安く買って、高く売る。仕組みとしては分かりやすい。
自分にもできそうだと思ったことを覚えている。
固定費の見直しのなかで、学資保険を解約した。自分の生命保険も、貯蓄型から掛け捨てに切り替えた。
その際に、解約返戻金として手元に約200万円が戻ってきた。
そのお金の使いみちは、二つに分けた。一部をせどりの原資にして、残りは毎月の借金返済に充てる。返済に回した分がなくなるまでが、勝負だと思っていた。
期限は決めていた。そして実際に、その約200万円が底をつきかけた頃、僕はフードデリバリーを始めることになる。
ほぼ毎日、店を回っていた
やっていたのは、店舗せどりと楽天ポイントせどりの二本柱だった。
家から近い店は、ほぼ毎日通った。棚を端から見て、利益が出る商品を探す。全商品をチェックするくらいの勢いで回っていた。土日は、少し離れた複数の店をまとめて回る日にしていた。
楽天ポイントせどりのほうは、家で商品を探す仕入れだった。楽天のセールに合わせて、パソコンやスマホで商品を探す。
ただ、こちらは主軸にはならなかった。理由は次の章で書く。
いろいろな商品を扱った。おもちゃ、電化製品、文房具。そのなかでいちばん多かったのは、日用品だった。
日用品を選んだわけではない。自分が回れる範囲の店で、利益が出そうなものを拾っていったら、結果的に日用品が多くなっていた。選んだのではなく、そうなった。
卸業者から声がかかって、まとまった数を仕入れたこともある。その顛末は別の記事に書いた。
→ せどりの卸業者から営業電話。23回取引して約15万円の損失。でも、学びはあった
規模を決めていたのは、儲けではなく枠だった
仕入れの支払いは、複数のクレジットカードで分けていた。
楽天ポイントせどりに使っていたのは、せどりを始めるときに新しく作ったカードだった。ただ、利用枠は小さかった。借金がある状態で申し込んだから、上限が低く設定されたのだと思う。
楽天ポイントせどりが主軸にならなかったのは、これが理由だ。支払いに使える店はそれなりにあったけれど、結局は枠の中でやりくりするしかない。広げようがなかった。
店舗せどりで使っていたカードは、そちらより枠が大きかった。ただ、無制限ではない。
枠を全部使ってしまうと、カードの請求を支払うまで、次の仕入れができなくなる。だから僕は、枠の半分をその月の仕入れの限界と考えていた。
つまり、僕が毎月どれだけ仕入れられるかを決めていたのは、どれだけ利益が出るかではなかった。使える枠がいくらあるかだった。
枠が決まっていれば、一度に仕入れられる量も決まる。その範囲で、少しずつ回していく。それが僕のやり方になった。というより、それしかできなかった。
粗利は、出ていた
記録は、エクセルでつけていた。
仕入れた金額と、売れたときの入金額。その差が粗利になる。売れるたびに1行ずつ足していく。数字は毎日動いていたし、プラスの行のほうが多かった。
約2年分を集計すると、こうなる。
【せどりの売上と粗利(自分の記録より)】
| 2022年 | 2023年 | 2年合計 | |
|---|---|---|---|
| 売上 | 約705.6万円 | 約589.7万円 | 約1,295.3万円 |
| 売れた分の粗利 | 約59.6万円 | 約9.2万円 | 約68.8万円 |
| 販売点数 | 2,359個 | 1,538個 | 3,897個 |
約1,295.3万円を動かして、粗利は約68.8万円。売上に対する粗利は、5%ほどだ。
2023年に入ってからの落ち込みが大きい。約589.7万円を売って、粗利は約9.2万円しか残っていない。
なお、この数字には、仕入れのときに付いたポイントを含めていない。約2年間で得たポイントは、合計で約42.3万円分あった。
ポイントは、次の仕入れの支払いに使っていた。その分だけ現金を使わずに済んでいるので、利益として数えてもいいと思っている。足すと、2年で約111.2万円になる。
ただ、この記事では現金だけの数字を使う。次の章で見る決算書が、現金をもとに作られているからだ。
いずれにしても、日々の記録の上では、プラスの数字が並んでいた。
決算書は、赤字だった
2022年分の決算書が残っている。
そこに書かれていた控除前所得金額は、約7.6万円のマイナスだった。
自分の記録では数字が残っていたのに、申告の上では赤字になっている。この差はどこから来たのか。
当時の僕は、エクセルで出ていた約59.6万円を利益だと思っていた。でも、あれは粗利だった。
理由は単純で、僕がつけていた記録には、入っていない経費があったからだ。
決算書には、通信費が約16万円計上されている。僕の場合は、携帯電話の料金を私用と仕事で按分して、その一部を経費にしていた。ほかにも、旅費交通費のような項目が並んでいた。
僕のエクセルに入っていたのは、仕入れと、売れたときの入金額。それに、梱包材や、価格を調べるツールの利用料といった、直接かかったお金だけだった。
パソコンで使うソフトの使用料のように、記録から漏れていたものもある。
売上の数字も、記録と決算書では少し違っている。集計の仕方が違うからだ。
つまり僕は、記録をつけているつもりで、記録の一部しかつけていなかった。
毎日エクセルを開いて、粗利の行が積み上がるのを見ていた。その数字は嘘ではない。ただ、記録されていたのは、全体の一部だった。
売れ残りは、数字に出てこない
もう一つ、僕の記録に現れなかったものがある。
売れなかった商品だ。
損益は、売れて初めて計算される。仕入れて、まだ売れていないものは、利益の行に出てこない。かといって、損失として出てくるわけでもない。ただ、在庫として置かれている。
2023年の年末時点で、自分の記録では486点、金額にして約65万円分の在庫が残っていた。
帳簿の上では、これは資産だ。仕入れに使ったお金が、商品という形に変わっているだけ、ということになっている。
でも、売れなければ現金には戻らない。
そして僕は、この在庫が増えていることに、2022年の後半には気づいていた。気づいていながら、仕入れを止めなかった。止めれば、その月の売上が立たなくなる。売上が立たなければ、カードの支払いに回すお金が減る。
売れ残ったものを、損が出るところまで値下げして手放すこともしなかった。そこまで下げれば売れる。でも、そうすれば損が確定する。それが嫌だった。
止めるという判断が、うまくできなかった。
店を回るより、配達したほうが確実だった
2023年の3月から、僕はフードデリバリーを始めた。
→ Uber Eatsを始めた日、1日の売上は600円だった
せどりをやめると決めた日があったわけではない。仕入れに行く回数が少しずつ減って、配達に出る日が増えていった。それだけだった。
理由は、はっきりしている。
店を何時間回っても、利益の出る商品が見つからない日がある。見つけても、それが売れるとは限らない。売れても、入金までには時間がかかる。
配達は、動いた分がそのまま報酬になる。金額の大小はあっても、ゼロにはならない。その日のうちに、いくら稼いだかが分かる。
借金を返すという目的から見れば、どちらが確実かは考えるまでもなかった。
2023年の後半になると、仕入れのために店を回ることはなくなっていた。配達の帰りに、近くの店をのぞく。見つかれば買う。その程度になっていた。
せどりがうまくいかなかった原因
いま振り返ると、原因ははっきりしている。
一つは、お金を分けていなかったことだ。
仕入れに使うお金と、生活費と、借金の返済。この三つが、同じ財布から出ていた。カードで払っていたから、支払いは翌月以降にずれる。売上は、売れたタイミングでばらばらに入ってくる。
だから、いま自分がいくら使って、いくら戻ってきているのかが、その時点では分からなかった。
もう一つは、規模の広げ方だ。
僕は、カードの枠がある分だけ仕入れていた。でも本来は、得た利益を次の仕入れに回して、少しずつ広げていくべきだったと思う。枠があることと、広げていい状態であることは、別のことだった。
そして、焦りがあった。
枠がある分だけ一気に仕入れてしまったのも、ここにつながっている。
毎月の返済がある。手元の現金には余裕がない。だから、もう少し待てば下げずに売れるはずのものでも、早く現金にしたくて値段を下げた。
損が出るところまでは下げていない。それでも、待てていれば残ったはずの利益だった。
あのとき僕が考えていたのは、現金にすることだけだった。いくら損をするか、いくら得をするかではなく、今月いくら手元に入るか。それしか見ていなかった。
お金の心配が判断力を奪うのかもしれない、という話を別の記事に書いた。せどりのこの場面も、そうだったのかもしれない。
→ お金の心配は、判断力を奪う? あのときの失敗は、能力の問題じゃなかったのかもしれない
結び:安く仕入れて、高く売る
せどりは、うまくいかなかった。
それでも、自分でビジネスをやったという経験は残った。
安く仕入れて、高く売る。商売の基本は、これだけだと思っていた。実際、やっていたことはその通りだった。ただ、単純なことが、簡単だとは限らなかった。
そして、その差額は粗利でしかない。
事業を続けるためにかかるお金を全部引いて、そのあとに残るのが利益だ。
僕は粗利を見て、利益だと思っていた。決算書がそれを教えてくれた。
借金がある状態で商売を始めるのは、難しい。枠も、現金も、時間も足りない。心の余裕も、足りなくなっていく。そのどれもが、判断を狭くしていく。
僕は約2年かけて、自分でやってみて知った。
授業料としては、安くはなかった。
それでも、せどりでの経験は、いまも役に立っている。
複利の奴隷から、成り上がるまで。


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