会社員の経費と、個人事業主の経費。同じ言葉でも、立場が変わると意味が違った

同じ経費でも、会社員のときは出してもらえるもの、個人事業主では自分が払うもの 副業の軌跡

前に、日本政策金融公庫の融資で、自転車を買った話を書いた。

その中に、こんな一節がある。

「同じ自転車でも、誰のために、何のために買うかで、お金の重みが変わる。会社員だったころの僕は、ここをまったく分かっていなかった」

あのとき書いたのは、こういうことだ。

僕が自分の仕事のために自転車を買えば、仕事で使う分は、経費にできる。

一方、子供のために新しく買えば、経費にはならない。

税金を引かれたあとの手取りから、まるまる払うことになる。

そして、経費の話は「いつか一本の記事として、きちんと書きたい」とも書いた。

→ 日本政策金融公庫から47万円の融資を受けて、新しい自転車を買った話

今回は、その話を書く。

会社員として使う経費と、個人事業主として、自分の事業で使う経費。

同じ言葉でも、立場が変わると、意味が違った。

会社員の僕にとって、経費は「出してもらえるもの」だった

会社員だけをしていたころ、僕が「経費」という言葉を使う場面は、主に3つだった。

ひとつめは、仕事で必要なものの購入を申請するとき。

ふたつめは、交通費や、出張にかかった費用を精算するとき。

みっつめは、取引先を接待するとき。

どれも、自分の懐は痛まない。

会社に、お金を出してもらえるもの。

それが、僕にとっての経費だった。

副業を始めて、経費を「出す側」になった

その感覚が変わったのは、せどりを始めたときだ。

せどりでは、出品を管理するためのソフトを契約した。

料金は、月々5千円ちょっと。

支払いには、クレジットカードを使っていた。

確定申告ソフトで仕訳をしていたとき、カードの請求書に、その料金が載っているのを見た。

このお金は、僕が払う。

会社は、出してくれない。

自分のビジネスでは、経費は自分が払うものだ。

そのとき、はじめて、そう意識した。

副業であっても、自分でビジネスをするなら、自分がそのオーナーになる。

つまり、経費を出してもらう側ではなく、出す側になるということだ。

経費にして減るのは、あとで払う税金だった

では、経費にすると、何が変わるのか。

確定申告では、売上から経費を引いて、税金を計算する。

経費が増えれば、その分、払う税金は少なくなる。

ただ、お金が戻ってくるわけではない。

自分の事業で1万円の経費を使えば、そのときに、1万円がまるごと出ていく。

減るのは、あとで払う税金のほうだ。

今の僕の場合、減る税金は、使った経費のざっくり2割ほど※。

1万円なら、約2,000円になる。

会社員として使う経費は、1万円使っても、僕の懐からは出ていかない。

自分の事業で使う経費は、1万円が、僕の懐から出ていく。

トータルで見ると、税金が減る分を差し引いて、約8,000円が自分の負担だったことになる。

同じ「経費」でも、ここが違った。

同じスマホを買う場合でも、違う

もうひとつ、違うことがある。

税金が引かれる前のお金で買うか、引かれたあとのお金で買うか、だ。

たとえば、ざっくり10万円のスマホを買うとする。

会社員として、自分のスマホを買う場合。

給料の額面から、社会保険料や所得税、住民税が引かれる。

その残りの手取りから、10万円を出して買うことになる。

個人事業主として、仕事専用のスマホを買う場合。

10万円は、事業の売上から出す。

そして、その10万円を経費として売上から引いてから、税金を計算する※。

経費の分だけ、払う税金が少なくなる。

僕の場合で考えると、トータルでは、約8万円の負担になる。

ただし、これは仕事だけに使うスマホの場合だ。

プライベートと仕事の両方で使うなら、仕事で使う分だけを、割合で分けて経費にする(家事按分)。

僕も、メインのスマホはそうしている。

もちろん、会社員と個人事業主は、これだけで単純に比べられるものではない。

それでも、この仕組みを知っているかどうかで、積み重なったときの差は、大きくなると思う。

「経費だから」と買っていたら、利益がなくなる

会社員のときの感覚のまま、「経費だから」と何でも買っていたら、副業の利益はなくなってしまう。

だから、フードデリバリーで使うものを買うときは、効率が上がるかどうか、費用に見合う効果があるかどうかを考えて、決めている。

もっとも、僕の場合は、そもそもお金がなかった。

借金もあった。

だから、せどりもフードデリバリーも、奇しくも、小さく始めることになった。

今、経費にしているのは、配達に使う道具がほとんどだ。

自転車は、減価償却で、何年かに分けて経費にしている。

自転車の修理費、スマホホルダー、モバイルバッテリー、ヘルメット、配達バッグ。

雨の日に使う、カッパと長靴。

売上を管理するソフトの利用料と、スマホの通信費もある。

最近では、スマホホルダーまわりを、まとめて買い替えた。

ホルダーに付けていたサンバイザーが壊れ、ホルダーの電源にしていたモバイルバッテリーも、劣化して給電できなくなった。

ホルダー本体も2年ほど使っていて、すでに生産が終わっている型だった。

だから、この機会に、まとめて新しくした。

会社の経費でも、費用対効果を考えるようになった

自分で経費を扱うようになって、会社員としての見え方も、少し変わった。

仕事で必要なものの購入申請や、交通費・出張の精算でも、本当に必要か、費用に見合う効果があるかを考えるようになった。

接待も、同じだ。

接待の機会は、そう多くはない。

それでも、以前のように、無邪気にタダで飲食できるとは、思えなくなった。

そのお金が無駄にならないようにしたい、と思うようになった。

接待で売上が増えれば、効果は目に見える。

でも、先々のために、相手とのつながりを深める場もある。

単純に、数字で比べられるものではない。

それでも、少しでも、その経費を有意義に使えるようにしたいと思っている。

会社員として使う経費は、会社が出してくれるものだった。

自分の事業で使う経費は、自分が払うものだった。

言葉は同じでも、僕にとっては、別のものだった。

自分が払う経費だからこそ、うまく使って、これからも稼いでいく。

複利の奴隷から、成り上がるまで。


※この記事では、おおまかに把握するために、ざっくりと計算している。10万円以上のものは、何年かに分けて経費にする決まりがあるが、条件によっては、一度に経費にできる特例もある。税率は人によって違うし、税金の制度は変わることもある。詳細は、各自で確認してほしい。

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