借金の返済のために、フードデリバリーを始めたのが2023年の3月だった。
始めた理由は、格好のいいものではない。返済のためのお金が、給料だけでは足りなかった。
スキルアップとか、キャリアの幅を広げるとか、そういうことは一つも考えていなかった。本業以外の時間を使って、お金を稼ぐ。そこしか見えていなかった。
このブログでは、いくら稼いだかを何度か書いてきた。金額の話は、それらの記事に譲る。
→ フードデリバリー副業でいくら稼げる? 借金返済中の3年・約760万の体験談
副業を続けているうちに、収入とは別のところが少しずつ変わっていた。今日は、そのことについて書いていきたい。
雨の日が、憂鬱なだけではなくなった
一番はっきり変わったのは、天気の受け取り方だ。
副業を始める前、雨の日は憂鬱だった。靴が濡れる。傘が邪魔になる。予定が崩れる。雨に良いところなど一つもないと思っていた。
でも、フードデリバリーを始めてから、雨の日は稼ぎ時になった。配達の依頼がひっきりなしに飛んでくる。条件が合わない配達依頼を断っても、すぐに次が来る。これまでの経験上、同じ稼働時間なら、雨の日のほうが売り上げは高い。
だからといって、雨が好きになったわけではない。いつもの服装にカッパが加わるので、その分の手間が増える。路面は滑るし、視界も悪い。事故のリスクは上がる。長く走っていれば、雨は少しずつ服にしみこんでくる。憂鬱がなくなったわけではない。
ただ、そこに別の気持ちが混じるようになった。今は天気予報で雨のマークを見ると、憂鬱と、稼げるという嬉しさの両方が来る。
天気そのものは何も変わっていない。変わったのは、僕の受け取り方だ。
遊ぶゲームを、二度絞った
減ったものもある。ゲームの時間だ。
副業を始める前は、スマホのゲームをいくつか並行して遊んでいた。
1日は24時間しかない。本業と睡眠を削らないなら、残りの時間でやりくりするしかない。2023年3月にフードデリバリーを始めて、ゲームをしていた時間を稼働にあてた。
全部を続けるのは無理だったので、意識的に二つに絞った。
2026年4月にブログを始めて、時間はさらに減った。今は一つだけになっている。それも、その日の分を消化して閉じる程度だ。
削られたというより、その都度、残すものを自分で選んできたという感覚に近い。二度、選び直した。
絞った当初のことはよく覚えていないが、慣れてしまえば特に何も感じなくなった。そこまで優先度の高いものではなかったのかな、と今は思っている。やめてみるまで、それは分からなかった。
休日の過ごし方と、体のこと
副業をする前の休日は、だらだら過ごしていた気がする。何をしたか思い出せない日が、いくつもあった。
副業を始めてから、完全にだらだらしなくなったとは言わない。今でも何もしない時間はある。それでも、動く時間と休む時間の切り替えはつくようになった。平日は本業があるので8時に起きる。休日は10時、11時まで寝て、そこから夜まで稼働する日もあれば、疲れが溜まっていて15時まで寝てしまい、夕方から夜だけ動く日もある。
決まった型があるわけではない。その日の体の状態で決めている。メリハリという言葉が近いと思う。
もう一つ、増えたことがある。体のメンテナンスだ。
2025年7月に首を痛めた。原因は特定できていない。ただ、配達バッグを背負って長時間自転車に乗っていたことも、無関係ではないと思う。
それまで、稼働のあとに体のケアをすることはなかった。走って、帰って、そのまま寝る。体を使う仕事だとは分かっていたつもりだったが、問題が起きたことがなかったので、そこまで気にしていなかった。
痛めてから、体が資本の副業なのだと改めて気づかされた。体は若いころのままではないのだと、最近はよく感じる。今はほぼ毎日、整体で教わったストレッチをするようになった。
痛める前に気づけていればよかったのだが、そうはならなかった。
不安は消えていない。ただ、質が変わった
借金への不安がなくなったかというと、そんなことはない。今も残っている。
ただ、以前の不安とは違う。
副業をやっていなかったころは、完済できるのだろうか、という不安しかなかった。返済に回せるお金の当てがなく、この先どうなるのかも分からない。出口があるのかどうかすら見えていなかった。
副業を始めて、頑張れば返済のお金は稼げるということが分かった。動けば、その分だけ返済に回せる。
完済という出口はまだ遠い。数字を見れば、まだ長い時間がかかる。それでも、出口が見えているというのは大きい。ゴールの見えない道を歩くのと、ゴールの見えている道を歩くのとでは、歩き続けられるかどうかが違う。
お金以外で変わったことの中で、これが一番大きいかもしれない。
国の姿勢も変わってきているらしい
ここまで書いてきたのは、副業を始めてから起こった僕の変化のことだ。
副業について調べていたころ、ニュースサイトで見かけた記憶がある。厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」というものを出している、という話だった。
改めて読んでみると、副業を希望する人は年々増えていて、その理由として「収入を増やしたい」「1つの仕事だけでは生活できない」といったものが挙げられていた。僕が副業を始めた理由と、そう変わらない。2018年には、厚生労働省が示すモデル就業規則から「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定も削除されている。
(出典:厚生労働省「副業・兼業」)
僕が副業を始めたのは、こうした流れがあったからではない。返済のために、それしかなかっただけだ。ただ、自分が動き出した方向と、国が示している方向は、そう遠くなかったらしい。
結び
これは、副業をすすめる記事ではない。
体力を使う。時間も取られる。誰にでも向いているものではないと思う。僕にしても、借金がなければ始めていなかったかもしれない。
始めたときの僕は、副業が生活の他の部分を変えるとは思っていなかった。収入だけを増やすつもりでいたのに、天気の見え方が変わり、遊ぶものを選び直し、体を気にするようになり、不安の中身が入れ替わった。
それが良い変化なのかどうか、受け取り方は人それぞれだと思う。僕は、悪くはなかったと思っている。
完済という出口に向かって、今日も自転車に乗る。
複利の奴隷から、成り上がるまで。


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